ジェフティ 約束
「そんな物騒なものしまってくれよ。ラドナスまで行くんだろう?乗せてってくれないか?」
 その少年の年のころはラルフと同じ位に見える。やせ細っていて、あちこちが擦り切れた服を身にまとい、髪はごわごわに縮れていた。何かを大切そうに抱えているが、薄暗くてよく見えない。
 ラルフは害はないだろうと判断し、持っていた剣を鞘に収めた。少年は、ラルフが剣を収めたことにほっとしたのか、手を伸ばしてラルフの足首を掴む。
「ラドナスまで案内するよ。いいだろう?」
 ラルフはシェシルのことを考えたが、今はまだ戻ることはできないだろうと思った。それに、また戻ったところで、軽率だと怒鳴られるだけだと想像できる。それどころか、またもや道に迷ったシェシルと会うこともできなくなるかもしれない。それならば、ラドナスで身を潜めて、シェシルがどうにかしてたどり着くのを待つほうが得策だ。

「街は近くなのか?」
 ラルフが言葉を発したことに気をよくしたのか、少年の顔がぱっと笑顔になった。
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