ジェフティ 約束
 ラルフはあわてて駆け寄った。
「大丈夫か!」
 足元の雪が飛び散り蹴散らされる。傍らに膝をつき、塊の上に手を置いてそっと覗き込むが、今度は動かなかった。気のせいだったのか。
 真っ白なフードに薄っすらと積もった雪を払って、ラルフはゆっくりとそれをめくった。


 ラルフのアズライトブルーの瞳が、驚きで見開かれた。息をするのも忘れてしまうほど、その眩しいほどの輝きに一瞬で見せられてしまっていたのだ。
 そこには、少女が一人横たわっていた。冷気にさらされ、透き通る磁器のように滑らかで美しい真っ白い肌。漆黒で艶やか長いまつげ、丹精で美しい横顔。そして何よりも目を引く、つやめく月の光のような長い銀髪。まるで、夢物語に聞く雪の精が姿を現したかのようだ。

 ――なんて綺麗なんだろう。
 ラルフは自分と同じ年くらいのその少女に見入った。
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