ジェフティ 約束
 ――なんで……、こんなところにどうして……。
 もう死んでいるかもしれない。その白い塊が何か見当が付いたときには、ラルフはすでに諦めが胸中をかすめていた。
 ここまで近づいてくると、それが何なのか、はっきり確認できる。ずいぶんと長いこと旅をしていたのだろう。アブロウ牛のなめし皮で作られた旅用の重くて大きな靴が、相当くたびれて泥で汚れているのが見えた。靴のサイズが合っていないのだろう。足首を皮ひもで絞めている。

 その時だ。ラルフが雪の下の小枝を踏み、ポキッと音がしたその時、その白い塊が微かに動いた。

 ――生きている!?
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