ジェフティ 約束
「え!?」
 ラルフはびっくりして、シェシルの後姿とマスターを交互に見た。周囲に座っていた客たちも一斉にシェシルから目を逸らし、目の前の皿に視線を戻す。昨夜と打って変わって、マスターの表情は険しい。
「すまないね、坊主」
 マスターはラルフの方へ向かって片手を挙げ、そのままキッチンの奥へと引っ込んでしまった。
「悪かったね、マスター。あとで出直してくるよ」
 シェシルは気を悪くした様子もなく店から出てきた。

 シェシルは再び表通りを歩き出し、開店したばかりの露店でなにやら交渉を始めた。ラルフはそれを少し離れた場所で見守る。露店の主人も最初は引きつった表情でシェシルを見ていたが、彼女が懐から取り出したものを受け取ると、急に愛想をよくしてあちらこちらの棚のものをかき集め、大きな包みにして手渡した。
 そして、それを小脇に抱えたシェシルは再び歩き始める。その後も、シェシルはいくつかの店に寄って、次々と品物を手にとっては、おびえる店主にきらりと光るものを手渡した。
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