ジェフティ 約束
「何を、待っているのですか」
巫女姫は少し俯いて耳に片手を当てた。
「ラルフ……」
それは聞き取れるかどうかの、かすかな呟きだった。
「守ってくれるって約束したの。私もラルフを守るって……、だから駄目。今私があなたと姿を消してしまったら、追いかけてきている男の子が迷ってしまうでしょう?
離れていても平気なの。これを二人で片方ずつつけているから」
巫女姫がエドに手のひらいてラピスラズリのピアスを見せた。そして、自分が来た山道の後方を振り返って見る。
「大丈夫、私たちは必ず会えるから。私、信じてるから」
その言葉は、まるで自らに言い聞かせるかのように、ゆっくりとかみ締めるようだった。
「少年は、あなたを取り戻すために、血を流して人を傷つけることになるんですよ。あなたを追いかけてくるという事は……、彼の身にも危険が迫る。それでもいいのですか?」
残酷なことを言っているのは分かっている。しかし、言わずにはいられなかった。もうこれは、ただの夢物語でも、恋への憧れでもないのだから。
きっと、少年は傷つくだろう。血を流して死ぬかもしれない。王の手の内へと落ちゆく巫女姫を救い出そうとするなんて、不可能に近い。可能性など、これっぽっちもないのではないか。
巫女姫は少し俯いて耳に片手を当てた。
「ラルフ……」
それは聞き取れるかどうかの、かすかな呟きだった。
「守ってくれるって約束したの。私もラルフを守るって……、だから駄目。今私があなたと姿を消してしまったら、追いかけてきている男の子が迷ってしまうでしょう?
離れていても平気なの。これを二人で片方ずつつけているから」
巫女姫がエドに手のひらいてラピスラズリのピアスを見せた。そして、自分が来た山道の後方を振り返って見る。
「大丈夫、私たちは必ず会えるから。私、信じてるから」
その言葉は、まるで自らに言い聞かせるかのように、ゆっくりとかみ締めるようだった。
「少年は、あなたを取り戻すために、血を流して人を傷つけることになるんですよ。あなたを追いかけてくるという事は……、彼の身にも危険が迫る。それでもいいのですか?」
残酷なことを言っているのは分かっている。しかし、言わずにはいられなかった。もうこれは、ただの夢物語でも、恋への憧れでもないのだから。
きっと、少年は傷つくだろう。血を流して死ぬかもしれない。王の手の内へと落ちゆく巫女姫を救い出そうとするなんて、不可能に近い。可能性など、これっぽっちもないのではないか。