ジェフティ 約束
「山賊の道なら多分コドリスにも通じてる。コドル山脈のいたるところに迷路みたいにあるって話しだぜ」
 ラルフは気のない返事をしながら、インサの差し出す炒り豆を一掴み手に取った。
「ラルフ、あいつらはテルテオのことを知っているとは思えないが、不用意に近づくんじゃないぞ」
 ぼそりとつぶやいたシェシルの言葉に、ラルフはぎくりと肩をすくめた。
「言われなくたって、わかってるよ!」
 本当は夜が更けた頃こっそり近づいてみようと思っていたところだったのだ。ラルフは慌てて炒り豆を口に頬張り、シェシルに背を向けて岩場の隅に身を縮めた。

 三時間もすると、夜の帳(とばり)が辺りに降り、忍び寄る湿気を帯びた空気がより分厚いベールとなって包み込んだ。
 川岸に一人残った男は、川が増水しても大丈夫な場所に穴を掘って、その上に焚き木の山を作り火をおこした。倒木を手早く薪にし、その上に腰掛けて携帯食料を口にしている。焚き木の中に松の木が含まれているのだろう。大きく燃え上がった炎の中で、ぱちぱちとリズミカルに跳ね回る火花の音が、ラルフたちのところまで聞こえてきた。
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