ジェフティ 約束
「一晩ってところだろう。野営地があの川岸の広さで事足りるならそんなに大きな隊でもないようだし。なりは進軍中のようだから、先に進みたいだろうしな。……今日は久しぶりに、火の通った温かいものでも口にできるかと思っていたが……ったく」
 シェシルの語尾はぼやきへと変わり、比較的広さのある岩場のくぼみにそのままごろりと横になった。
「進軍?どこに進軍してるっていうんだよ」
 ラルフは驚いた表情で、シェシルのほうを振り返って見たが、シェシルはついっと視線を逸らし、目を閉じてしまった。
「そうだなぁ、このまま行けばオルバーじゃねえか?要塞都市のサンダバトナに行くつもりなら、何もこんなコドルのど真ん中を抜けてく必要もねえし。あいつらどこから来たんだかしらねえが、ここまでは山賊の道を通って来たんだろ。馬に乗って移動するにはそれしか方法はないはずだぜ」
 シェシルの代わりにインサが答える。インサは炒り豆の入った袋の口を開け、ラルフに差し出した。
 ――そうだった。シェシルに訊いたって答えられるわけがないよ。多分、今自分がどの辺りを歩いているかすら、きっと分かっていないんだろうから。
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