ジェフティ 約束
 夜半、ラルフは何か甲高い物音を聞きつけた様な気がして、ふっと目を覚ました。相変わらず雨は激しく降っている。マントからはみ出た自分の手が、ぐっしょりと濡れていた。
「……シェシル」
 かすれた声がラルフの喉から漏れる。身を起こそうとしたラルフの頭に、ぐいっと草むらに押し戻す力が加わったのだ。ラルフは間近に見える大きなブーツのつま先で、それがシェシルだとすぐに気がついた。
「動くな」
 短いささやき声。ラルフは胸に押し当てていた剣の柄を握る指先に力を込めた。
 ――何か起きたんだ
 遠くで甲高い声が喚いている。
「いてて!何だよぅ、偶然通り過ぎただけじゃねえか!」
「嘘をつくな!」
 ――インサ!
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