ジェフティ 約束
 自分の両親が、兄弟が、国を、アスベリアを裏切っているなんて!
 しかし、壁の隙間から見える光景は、推測などとうに超え、揺るぎない真実をアスベリアにまざまざと突きつけていた。
「困ったことになったな」
 シラーグが頭を抱えてうずくまるのを横目でうかがう。腹も減っている。ここ何日かはまともな物を口にしていないのだ。判断は鈍り、体を動かすのも限界にきていた。
 その矢先に、思いもかけず農村にたどり着き、これこそ幸運を手にしたと思ったのだが。
「出るにも出られん。どうする?」
「……とりあえず」
 アスベリアは深呼吸をする。
「とりあえず、この干草の下に身を隠して下さい。夜まで待って、隙を見つけここを出ましょう」
 外に出られるのか、そんな隙が果たして巡ってくるのか、正直わからない。しかし、そうするしか道はないのだ。
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