ジェフティ 約束
 そう思うと、急に自分の家族のことが気になってくる。
「ところで、オレの親父たちは……、家族はどうしてる?」
 アスベリアのその言葉を聴くと、ルーヤの表情は不意に曇り、うつむいてしまった。
「ルーヤ?」
「……それは訊かないほうがいいわ」
「なぜ?」
 アスベリアは嫌な予感がした。その先は聞いてはいけない、そんな不安が突き上げてくる。
「アスは、何も悪くないんだもの」
 再びアスベリアの顔を見上げたルーヤの瞳には、涙が溜まっていた。言葉とは裏腹に、ルーヤの瞳はアスベリアを責めていた。
「アス……、どうして王都になんて行っちゃったの?騎士様になんて、ならなければよかったのに……」
 こらえきれなくなった涙が頬を伝い、我慢できなくなった気持ちが言葉となってあふれ出た。
「どうしてみんなと一緒にいてくれなかったの?私と一緒にいてくれるって、約束してくれたじゃない!アスが出て行かなければ、誰も……死なずに済んだんだよ!」
 最後の言葉は涙に霞み、アスベリアの手にルーヤの涙がぽたぽたと落ちた。ルーヤはアスベリアの胸に顔をうずめ、肩を震わせて泣いている。一方アスベリアは、呆然と一つの言葉を頭の中で繰り返した。
 ――死んだって……誰が、誰のことだ……。
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