ジェフティ 約束
 しかし、こんな形で別離が訪れるなんて想像したこともなかった。それも、もうその面影すら曖昧になっている。それなのに、血の絆はアスベリアの家族を滅ぼしてしまった。
「ごめんね、アスを責めても仕方がないのに」
 いや、今はそれでも痛みを与えて欲しいほど、アスベリアは失ったものの大きさに気がついてしまった。自分が抱いた憧れは知らないところで沢山の人を、一番自分を想ってくれていた人たちを深く傷つけ、そして失ってしまった。もう二度と、その想いを取り戻すことはできない。
「ベルンさんは、最後まで抵抗してたよ。アスが守ろうとしている国を裏切るということは、息子を裏切ることだって、そう言ってた」
「残酷なようだが、当然だっただろうな。村人を従わせるための生贄にはもってこいだ」
 シラーグはため息混じりにそう呟いた。アスベリアは両の手を強く握り締め、その喪失に耐えようとした。
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