ジェフティ 約束
 ――オレは知っている。コドリスがオレの家族にしたことは、それが反抗的な群衆に言うことをきかせる為の上等手段だということを。暴動の引き金にならない程度の生贄はどうしても必要なんだ。
 歯を食いしばって目を閉じうつむくアスベリアの手を、ルーヤはそっと握った。
 アスベリアはその手の内から伝わる細く小さな手の感触から、幼い日のルーヤとの約束を思い出した。
 ――約束……。そうか、そうだったよな。
 他愛もない子供の頃の口約束。愛しい少女を幸せにしたいという願い。何も物理的な充足など想像もできない頃、ただ一緒にいたいというその想いのままに交わした約束。
 ――いつかルーヤと一緒になる。幸せにする。
 きっと自分は裕福になって地位を得て、ルーヤを迎えに来ると、そんな想いを抱えて村を出たのではなかったか。
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