ジェフティ 約束
 ――裏切ったのはオレだ。そしてまた、再びルーヤを傷つけてる。
 ルーヤは約束を信じ、アスベリアの帰りを待っていたのだろうか。辛い労働に耐え、必死に生活を守ろうとしていたあの頃と何も変わっていないように見える。相変わらず貧しい姿が悲しかった。

 ルーヤは自分で提案したように、夜中にパンとミルクを持ってこっそり現れた。
「このパンは、ユバラおばさんに教えてもらった作り方よ。アス、この味覚えてるでしょう?」
 それは素朴な丸パンで、中には雑穀が混じっていた。アスベリアは昔、この雑穀に混じるムツの実が好きではなかった。しかし、今こうして味わってみると、ムツの実から感じられる甘みから優しさを感じることができ胸が詰まった。
 来る日も来る日も、ルーヤは農機具小屋へと食料を運び、その度に彼女の顔色が悪くなっていくことにアスベリアは気付かずにいた。
「まだ、コドリスは村の外で野営しているのか?」
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