ジェフティ 約束
「しらばっくれても遅い。村の者が噂していたんだよ。この娘が夜な夜なこの小屋に食い物を抱えて通ってるってな」
 兵士は部屋の奥に立ち尽くす二人の姿を交互に眺める。
「なるほど、シンパから逃げたノベリア王……の影武者シラーグ=アズナルド准将と、アスベリア=ベルン大尉か」
「情報どおりですね」
 後ろに控えていたもう一人の兵士が呟いた。
 ――情報の出所はアイザナック=ラフィか。
 アスベリアは内心舌打ちをする。情報がどこから漏れたにせよ、コドリスの兵士の言葉だけでこちらの内情が相手国へもたらされている事は明白だった。
 ルーヤは小さくうめき声を上げながら、体を引きずって這いながら、自分の血で汚れた手をアスベリアの足にかける。アスベリアは思わずかがみ込んで、ルーヤの体を抱き寄せた。
「ごめ……んなさい」
 ルーヤは震えながらアスベリアの耳元で囁く。
「いいんだ、謝ることはない」
 アスベリアも小声でルーヤに告げる。
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