ジェフティ 約束
「そうです!鍛冶屋をしてるシェルグさん」
 男はますます顔をしかめ、いかにも迷惑そうな表情になって袋小路の一点を指差した。
「まったく、あのじいさんに関わるとろくな事ねえんだがな。いいか、坊主。オレがじいさんの居場所を教えたなんざ絶対誰にも言うんじゃねえぞ。……ったくよぅ」
 ラルフの目の前で扉は重々しい音を立てて閉められた。その場に取り残されたラルフは、男がちらりと指差した先を振り返って駆け寄った。そこはなんてことのない雑草が石畳の道の隙間から空間を求めるように生い茂る、箱のような家々の隙間だ。茶色く枯れこんだ蔓が、壁を這い上がり、触れると縮れた葉がぼろぼろと砕けて落ちてゆく。
 一見、誰もこんな隙間は通らないだろうと思うようなところだったが、その隙間に恐る恐る顔を入れると、その向こうには細い小道が続いていた。
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