ジェフティ 約束
 ラルフは慌ててドアを閉め、手探りで閂を引っ張って止めると真っ暗な中を手探りで壁を伝い一歩踏み出した。
「うわぁ!」
 ラルフの足が掴み損ねた床をすべり、転んでしたたか腰を打つ。あまりの痛みにうめき声も出ず、自分が転んだことに驚き思わず足元の石造りのざらざらとした表面をまさぐった。
「階段だ。転げ落ちてくるなよ」
 老人の声はラルフの下のほうから聞こえてきた。ラルフはどうにか立ち上がり、慎重に段差を探りながら老人の声のしたほうへと階段を降りていった。螺旋になっている階段を降りきると、天井の高い広い空間に出た。老人がランプに火を入れ、蜜蝋燭をテーブルに置いているところだった。
「見せてもらおうか」
 ラルフは手にしっかりと握り締めていた長剣を老人に黙って手渡す。
「ふむ……、見事な作だな」
 老人の口元に微かに笑みが浮かんだのが、薄暗いランプの明かりに映ったが、ラルフは恐怖で足がすくんだ。その微笑がとてつもなく恐ろしいものに見えたのだ。老人が鞘の留め金を外して剣を鞘走らせると、青白く燐光を放つ刃が現れた。
< 515 / 529 >

この作品をシェア

pagetop