ジェフティ 約束
「どうしてここに来たのか、とか、聞かないんだね」
 シェルグ老は、短剣の刃を柄から手早く外し、部屋の奥のまばゆく光る炉の中に差し込みながら、ラルフの方をちらりと見た。
「ここに来るのは、ガウリアンの刃を持つ日の当るところを歩けん奴らだけだ。宝飾もののガウリアンを持つものはカリシアの鍛冶師のところに行けるがな。わけありはわけあり同士、理由なんて訊ねたりはせん」
 ――わけあり同士……。
「わしはシェシーが赤ん坊の頃から知っておってな……。と言っても、子供の頃はわずかしか知らん。奴が傭兵になってから再会したんだ」
 ラルフははっとして顔を上げた。
「コドリスの……」
「ああ、奴が話したのか。ルシオンテ、ガウリアン鋼の鍛冶師集団の村の産でな、あれの両親の事も少しは知っとるよ」
 シェルグ老の口調は、望郷への思いを感じさせる深みのある哀愁があった。ラルフは老人の話しの続きを聞きたくなって、部屋の中央のテーブルにまで歩み寄った。
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