ジェフティ 約束
「ラルフ!ここまで来るのにお前どうやって来たんだ?」
「どうやってって、別に袋小路の脇の小道を進んだらたどり着いたけど?」
 その言葉を聞いたインサは、大袈裟なほど大きなため息を吐いて、背負っていた荷物を床に置いた。荷物もぐっしょりと濡れており、床にも水滴が飛び散るほどだ。よほど荷物が重かったのだろう。インサはその場にぺたりとへたり込んでしまった。
「やっぱりな。簡単にたどり着ける方法があったんじゃねえか、姐さん!水路の中歩いたり、絶対道じゃないようなせまっくるしい塀の上行ったり、そんな必要なかったんじゃねえかよ!」
 ――知った場所なのに、迷ったんだ。
 ラルフは相変わらずなシェシルに苦笑した。シェルグ老は二人に乾いた布を差し出し、インサの頭を撫でる。
「まぁ、それも道ってことだ、坊主。結果としてはちゃんとたどり着いただろうが」
「ちゃんと、じゃねえけどな」
 その一言で、インサが大変な思いをしてシェシルに着いてきたことが容易に計り知れる。全身ずぶ濡れなのも、雨のせいではなくて、きっと水路を歩いたからだろう。
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