ジェフティ 約束
シェルグは、暖炉の脇の小さな釜から発酵生地を焼いた香ばしいパンを取り出し、甘蔓の汁を煮詰めたシロップと一緒にシェシルの前に置く。少し飴色のそれは、遠くツロの砂漠の地に実をつけるロランジュの種を漬け込み、さわやかな香りをうつしている。
「オルバーの霧がいつにも増して濃い気がしてな」
シェシルはシェルグが差し出した小刀でパンを割ると、それをシロップにつけて口に運んだ。
「……何か異変を感じるのか?」
「いや、今は何も」
「そうか」
シェシルは呟くように相槌を打つと、ふっと口元を緩めた。
「シェルグのパンは、いつ食べても旨いな。だから、ここに来たくなる」
甘蔓のシロップもシェルグの手製だということをシェシルは知っている。作り置きがあるときは、それを分けてもらっているのだ。
「わしに金も落とさんと、飯ばかり食いに来おって。……次はないかもしれんぞ、よく味わって食えよ」
「それは、爺の寿命が尽きるからか?」
「ぬかせ、お前が死ぬかもしれんからだ」
「オルバーの霧がいつにも増して濃い気がしてな」
シェシルはシェルグが差し出した小刀でパンを割ると、それをシロップにつけて口に運んだ。
「……何か異変を感じるのか?」
「いや、今は何も」
「そうか」
シェシルは呟くように相槌を打つと、ふっと口元を緩めた。
「シェルグのパンは、いつ食べても旨いな。だから、ここに来たくなる」
甘蔓のシロップもシェルグの手製だということをシェシルは知っている。作り置きがあるときは、それを分けてもらっているのだ。
「わしに金も落とさんと、飯ばかり食いに来おって。……次はないかもしれんぞ、よく味わって食えよ」
「それは、爺の寿命が尽きるからか?」
「ぬかせ、お前が死ぬかもしれんからだ」