ジェフティ 約束
 シェシルは笑う。いつもの会話のようでいて、今日は少し違っていた。シェシルの笑顔を見つめながらシェルグの表情が曇る。
「どういうつもりかしらんが、死を覚悟するにはまだ早すぎはせんか」
 ――悪魔の瞳を見れば、死神だって逃げ出すだろうよ。同属だって言って酒盛りしてやってもいいぞ。
 いつものシェシルならそう言うはずだった。しかし、今のシェシルはただ笑うだけ。その顔は、ラルフを見つめる表情は、覚悟を得たもののそれに違いないとシェルグは感じたのだ。
「いつも、どこかで漠然と、私は戦場で死ぬんだと思っていたんだ。ただ、戦場で死ぬだけだと。それで終わる。でも、それは覚悟じゃなかった」
 シェシルの指がラルフの長剣のブルーペクトライトをスッとなでる。
「流されていた……、とでも言うべきかな。諦めとでも言うのか。いつの間にか、生きるために人を殺すだけの自分に気がついて、私は始めて自分から死にたいと思ったんだ。
 ただ奪うだけの自分に、衝動だけで生きている自分に愕然とした。自分が生み出した人の憎しみはこの身で受け止める。それしか報いることができないんじゃないか」
 己の内に渦巻く心の影を言葉という形に表すのに、シェシルは慣れていない。ひとつひとつ選びながら口から吐き出す言葉は、だからより真実味があった。
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