ジェフティ 約束
「……そうか、あの小僧はテルテオの生き残りか」
 シェルグは眠るラルフに視線をやり、シェシルは微かに頷く。テルテオが国に対し反逆を企てた罪で粛清されたと、噂に聞いていた。シェルグはことの真意はともかく、村一つ潰す裏には何かある。自分の故郷ルシオンテのように。そう考えていた。
「あれに、孤独を……。自分が生きていることさえ憎いと思わせるほどの絶望を与えたのは私だ。あそこに私がいたなら、もしかしたら!」
「お前が村にいたところで、どうにかなったとでも思っているのか!」
 思わずシェルグはシェシルの手を握り締め、苦しみに歪む顔を覗き込む。その表情は、幼かった頃のシェシルの面影を滲ませていた。転んで膝を擦りむき、強情に痛みに耐えて唇をかみ締め、泣くまいと精一杯虚勢を張っていたあの頃のままのようだ。
「あれとお前は同じじゃない!小僧に自分を重ねるな!それで守ってやると?それこそお前の驕(おご)りだぞ!……と、今さら言っても無駄か。十分巻き込まれとるしなあ」
 シェルグはシェシルの手を強く握り締めたまま、やれやれとため息をついた。
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