初恋エスカレーター
「……へっ?」
ゆずは少し戸惑ったが我にかえり、
「あーっ、どうも…?」
思わずノル感じで言ってしまった。
…やばい‼ 第一印象メチャクチャ‼
すると
「…ぷっ……わははは‼」
廊下にも響きわたる高笑いが聞こえた。
「ちょ…初めてこんな返事かえってきたよ‼おもしろーっ」
なんだか、空気が和んだ。
「そうかなぁ、小学校の頃みんなこれだったから、つい…」
ゆずもつられて笑顔になった。
「ゆずちゃんも転校生なんだ。俺もなんだ。」
急にまじめな顔になり告げたあと、向日葵のような笑顔で
「可愛いし、面白いし好きになりそう…あーじゃなくて友達になろ?」
一瞬聞こえた『好き』と言う言葉にドキッときたゆずは、
「う…うん‼ とも…友達」
思わず咬んでしまった。
「ゆずちゃんは、緊張すると咬んじゃうクセあるんだね。」
いたずらな笑顔で瞬汰が言うと
「なおしたいんだけど、なかなかなおんないんだぁ~」
苦笑いしながら、ゆずば後頭部に手を持ってって言った。
その瞬間、廊下からザワザワと人の声が聞こえてきた。
「みんな来たみたいだね。じゃあまた…」
ゆずが瞬汰から離れようとした時ふと耳元で
「そのクセなおさないでいいよ。その代わり他の男子には見せないで。」
低いトーンで言われ瞬汰はニコッと笑い自分の席へと戻った。