Princess of Magic
庇「でしたら命令してください。主の命は絶対ですから」
『主って誰ですか?』
庇「陽様でしたけれど、陽様が亡くなった時点で娘の姫様に移ります」
ってことは、私が庇さんの主?!?!?!
ずっとお世話になって来た庇さんに命令なんて…でも、しないと………そうだ!!
『それじゃあ、庇さんに【お願い】です。敬語はやめて下さい』
庇「分かりました。命令ではなくってお願いだなんて…ますます陽様に似てきたわ」
『お母さんに?』
庇「えぇ。陽様も私たちすべてに命令ではなくお願いをしていたわ」
『お母さんが…』
お母さんのことを知れて嬉しいな・・・
『いつからあっちに行くんですか?』
庇「今からよ。」
『え?いまから?全然用意出来てませんけど…』
庇「大丈夫。家ごと行けるから。いつもどおり部屋に行ってベッドに入って明日の朝、目が覚めたらもう着いているわ。」
そんな簡単に行けちゃうんだ…
こんなあり得ないことが日常茶飯事になるなんて…
慣れないと・・・って、慣れれるかな?
庇「私が話したかったことはこれだけだけれど・・・何か質問はある?」
『途中途中に口を挟みましたから、特には・・・ですが…お母さんが国を出て行ったのだとしたら、娘の私が国に戻ると、今の王が怒って私を追い出すのでは?』
庇「それはないから大丈夫よ。」
『??なぜですか?』
庇「今の王はおじい様ではなく、弟君だからよ。むしろ歓迎されるわ。」
『そうなんですか。でも、おじい様は?』
庇「10年くらい前にお亡くなりに…弟君がすぐに王位を継いで前王妃は今は離宮にお住みに。あっちに行ったらご挨拶に行きましょう。」
『はい。是非。何から何までありがとうございます。』
庇「いいえ、お礼なんて滅相もないわ。それに私の方があなたに謝らなければならないわ・・・本当にごめんなさい。あなたの悩みや苦労に気付いてあげられなくて…」
『そんな、謝らないで下さい。私が気付かれないように隠していたんですから。それにこれからは気を使わずに何でも普通に出来るのでしたら、今までのことなんて全然平気です』
庇「・・・ありがとう。―――さぁ、そろそろお部屋に戻って?」
『はい。おやすみなさい。』
庇「おやすみなさい。」