ロ包 ロ孝 2
 それを聞いたジェイ達は俄(ニワカ)に色めき立った。

「なんだなんだ墨刀かっ? ジェイさん、晋君を頼みます。おい三郎、ユウレイ付いて来い」

「はい」「ヘイッ」

 彼らは連れ立って走り去った。


───────


「おう雷児ぃ。随分と久し振りだなぁ。話に聞けば年少部の幹部になったっつうじゃねぇか」

 襟元を引き絞られ、息も絶え絶えになっていた門番を打ち捨てると、男は雷児に向き直って言った。

「なぁんだ。誰かと思ったら峰さんじゃないですか、一体どうしたんですか? 墨刀の襲撃かと思いましたよ」

 彼は昔、ティーファミリーの中でも最もキレ易い武闘派として恐れられていた峰晴(ミネハル)である。頭の切れもティーファミリーで一番だった彼は、ティーの奨めも有って足を洗い、一般企業に身を置いていた。

「それが、いいか? 落ち着いて話を聞いてくれ。俺が会社を出たらよぉ……」

 ゆっくりと、噛み締めるように峰晴は語り出した。


〇※○※○※


 1日の仕事を終えた彼が表に出ると、夜空が明々と炎で照らされている。

僅かに炎のはぜる音も風に運ばれてくる事から、どうやら火元は遠くないようだ。

「おいおぅい、火事と喧嘩は江戸の華ってか?」

 日々の単調な仕事に少し嫌気が差していた峰晴は、小躍りしてイグニッションを回す。

サンドモービルを飛ばして駆け付けてみると、墨刀一味が現場を立ち去ろうとしている所だった。

 峰晴はその中に見知った顔を見付け、問い詰める。

「おう川合、どうしたんだ? これは」

 まだ激しく燃え盛っている炎を指して尋ねる彼に、川合はいきなり喰って掛かった。

「なんだなんだ? 誰かと思えば峰晴じゃねぇか。
 お前ファミリーを足抜けしたんだってなぁ。ケッ」

 峰晴はその答えを聞くや否や、川合に殴り掛かっていた。

  バキッ ドスッ メキメキッ

「ナンダてめえその口のきき方は、おおっ?」

  ドガッ ボグワシャ!

 ティーファミリーに居た時には、ヘコヘコと腰を曲げて峰晴の機嫌を伺ってばかりいた川合の変貌振りに、長らく封印していた激情が噴出したのだ。


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