好きだ好きだ、大好きだ。

「ハナちゃん!! ストップ!!」
「――……っ」
「ごめん」

少し慌てたような声を上げた夏希君は、きっとこの存在を思い出して、急いでリビングからこの部屋に来たんだろう。
隣からスッと伸びた手に、肩がビクッと震えて、胸があり得ないほど痛くなった。

伸ばされたその手が、机の上のそれをパタンと倒して、

「見た……よね?」
「ごめん。ちょっとだけ、見えちゃった」

今まで見た事のない、顔を赤くした夏希君の表情が瞳に映る。

「えっと……、取りあえず行こっか」
「うん」

“夏希君の表情と鼓動を、私が少しでも狂わせられたらいいのに”――そう思っていた。

でも、違うんだ。

私じゃない。
夏希君の表情を、こんな風に変えられるのは、私じゃない。


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