好きだ好きだ、大好きだ。

「ハナちゃん! 悪いんだけど、ここお願いしていいかな?」
「あ、はーい。もしかして、またオートテニスですか?」

時間は20時半過ぎ。
声の主は、こっちにお尻を向けながら工具入れをガサゴソ漁る佐野さんだ。

「そうそう。こりゃ、本格的にダメかもなぁ。ハナちゃんのお庭に置く場所作っておいて」
「その件ですけど、やっぱり両親に相談させて下さい」

私のそんな返事に“あははっ!”と笑った佐野さんは、私にレジのカギを渡して事務室を出て行った。

……さて。
残りの宿題を片付けちゃおう。

普通、バイト先で宿題なんてとんでもない事なんだけど、“学生は勉強しなきゃ! 暇なんだし、いいよいいよー”が、佐野さんの方針。
こんなに恵まれたバイト環境って、そうそうないと思う。


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