好きだ好きだ、大好きだ。
「――……ナちゃん! ハナちゃん!」
「あっ!! はい!!」
「すごい集中力だね」
「す、すみません!!」
「いや、いいんだよ。むしろ褒めてるんだから」
ハッとして顔を上げれば、そこにはいつの間にか戻って来ていた佐野さんの姿。
「あと少しで22時だし、そろそろ上がっていいよ」
「あ、はい! ありがとうございます!」
「うん。気をつけて帰るんだよ」
「はーい!」
気が付いた時には、外はもう真っ暗で、お客さんもまばら。
「……」
「ん? どうしたの?」
だけどそんな中、今日も“会釈仲間”の彼は、ただ1人黙々とバットを振り続けている。
「いえ……。何でもないです! すみませんが、お先に失礼します!」
ペコリと頭を下げた私は、ノートを急いでカバンに放り込んで、足早に事務室を飛び出した。