好きだ好きだ、大好きだ。
着替えを終えて、いつも通りバッティングをしている人達の後ろのフェンスをテンテンしながら歩く。
会社帰りなのか、スーツ姿のままのサラリーマン。
大学生くらいのカップル。
呑み屋さんの……お姉さん?
そして、その隣の打席。
「……」
そこには、今日も白い球をビュンビュン空に打ち上げていく“会釈仲間”の彼の姿。
やっぱり綺麗だなぁ……。
野球になんて全然詳しくないけれど、それでも色んな人の打ち方を見ていて、何となく、彼の打ち方が1番好き。
どうしたら、あんな風に打てるんだろう?
そう思ったけど、野球の球にもバットにもまともに触った事がない私が、そんなのわかるはずもない。
「よしっ!!」
わからないなら、やってみよう!!
だって、何事も経験でしょう!
胸の辺りで両手をグッと握った私は、金属で出来た扉を引くと、掃除や点検以外で初めてその打席に立ったんだ。