好きだ好きだ、大好きだ。

それは桜もすっかり散ってしまって、梅雨前線が近づき始めた、ある日のことだった。

「ねー、夏希君」
「んー?」

バッターボックスに立ち、振り返ることなく返事をした夏希君は、今日も絶好調。

「ネットにボール当てすぎて、破らないでね」
「ここのネット、そんなにもろいのかよ」
「わかんないけど、破れたら佐野さん可哀そうだし」
「はいはい。気を付けますよー」

楽しそうに笑う夏希君の背中を見つめる私は、今日もやっぱりバイト上がり。
もはや定位置になったバッターボックス裏のベンチに腰かけながら、相変わらずキレイだと思う夏希君のバッティングを眺めていた。


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