好きだ好きだ、大好きだ。
結局、試合は夏希君たちの学校が終始優勢で、相手校が可哀想になるくらいの圧勝っぷりを見せた。
「ホント強いね」
「ねー。このままじゃ、晃君マズいんじゃない?」
「ムカつく。闇討ちするから、夏…城戸君の家教えなさいよ。」
「は? そんなん知らないし。ってゆーか、知ってても教えるわけないじゃん」
さっきから“夏希君”と呼びそうになるのを、わざわざ“城戸君”と言い直しながら、亜矢ちゃんが私を笑わせようと頑張っている
「ごめん」
「は? 何が?」
「人に気を遣うという事を、全く知らない亜矢ちゃんに、気を遣わせて」
「……シバくよ?」
「あははっ」
やっと笑った私を見て、少しホッとしたようにその表情を緩める亜矢ちゃんは、やっぱりいい子。
もうこれ以上、心配をかけないようにしないと。
両手をギュッと握って視線を上げ、試合が終わったグランドに目を向けようとしたその時、グリーンのフェンスが“カシャン”と音を立てた。