その仮面、剥がさせていただきます!
リクがそんな笑い方をするのも初めて見たあたしは、何が可笑しかったのかも分からないまま、つられて笑った。

ツボに嵌ったのか、お腹を押さえ笑っているリク。

あたしは笑うのを止め、リクの崩れた表情を見ていた。


「その方がいいよ」

「え?」

「なんか。自然で」

いつもの王子スマイルも悪くはないけど、どこか無理をしているんじゃないのかって思う時もある。だから、こういうリクも悪くはない。


……って何考えてんだ、あたしっ。







早々にカフェを出たあたしたちは、いつもの帰宅コースに戻る。

いつもの王子スタイルに戻ったリクは、あたしに話しかけながら王子スマイルを向けていた。

「ねえ。気になってたんだけど、リク。家に帰ってないってお兄さんが言ってたじゃない?だったら、どこに帰るの?」

あたしの素朴な疑問にリクは困ったように口ごもった。

「別に、言いたくないんだったらいいけど……」

「ううん。そうじゃないけど」


そう言ってまた口を閉ざす。


そうこうしているうちに、いつも送ってもらう分かれ道に着いてしまった。

どうしても聞きたいってわけじゃない。
リクが言いたくないのならそれでいい。

「じゃ。また明日学校でね」

リクに見送られながら、家に続く道を歩いていると、後ろから追いかけてきたリクがあたしの腕を掴んだ。

「リク……?」

何かを言いたげで、それでも何も言わないリク。掴まれているリクの手に力が加わるのが分かると、あたしはなんだか心配になってきた。

きっとリクには言えない事情があるんだ。けど、それをあたしが聞いてしまったから、リクは言わなくちゃいけないと思ってるんじゃないかな。
でも、それは他人に話せることではなくて……


だから、苦しんでる?



「リク。別に無理に話さなくてもいいよ。あたしが変なこと聞いちゃって……」

ゴメンねと小さく言うと、リクが頭を振った。

「まだ時間ある?」

「うん。少しなら大丈夫だけど」

そう返答すると、リクは何も言わず、あたしの腕を掴んだまま歩き出した。


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