その仮面、剥がさせていただきます!
な、何?


この『連行されてます』感は。


腕を掴んでいた手の力は少し緩んでいたけど、黙ったまま黙々と歩くリクの後ろ姿に、あたしはどこに連れて行かれるのか不安になる。

確かカフェでも、いつものリクじゃなくなったことがあったような。

あの時は雑誌がどうとかって言って、その後リクはケロリとしてた。

リクが変だってこっちは心配してたというのに……



もしかして、コレも雑誌の影響?

倦怠期を乗り越えたら、次はなんだろ……


リクの背中を見ながら、王子マニュアルに載ってありそうなことを予想してみた。


男女が付き合う⇒一緒にお弁当⇒一緒に帰る⇒手をつなぐ⇒カフェでお茶⇒倦怠期⇒仲直り⇒


仲直りの次は?


ま、まさか……


男と女があんなことやこんなことをするという……


想像していると、あたしの顔がボッと発火した。その時、前を歩いていたリクがいつの間にか立ち止まり、あたしの顔面がリクの背中にぶつかる。


「いたっ」

「大丈夫?そんなに強くぶつけちゃった?」


振り返ったリクはあたしの赤い顔を覗き込むようにジッと見ている。

顔を押さえたあたしは、これは違うの。と言いたかったけど、変なことを考えていたとも説明できるはずもなく「気にしないで」と素っ気なく答えた。

腕を掴んでいた手が外れると、リクは数段ある階段を上り、建物の中に入って行っている。

「どこに行くの?」


「ここ……俺が一人暮らししてるマンション」


「一人暮らし……」


―――たまには家に帰ってこいよ。

あれはこういうことだったんだ。


でも、どうして一人暮らし?

疑問に思っても、さっきのリクの顔が思い浮かんで、聞くことが出来ない。
もうこれ以上踏み込んだらいけない気がして、リクが中に入って行くのをその場でただ見ていた。

リクがあたしに気づいて振り返るとかわいい顔でニコリと笑った。


「ちょっと部屋に寄っていってよ」


< 37 / 256 >

この作品をシェア

pagetop