その仮面、剥がさせていただきます!
あたしはリクの顔を真面に見ることが出来ず、そこから逃げるしかなかった。


リクは身長のことを気にしているから隠したかっただけなのに、その秘密をあたしなんかに話したばっかりに……

あたしはリクを傷つけてしまった。


もうすっかり日の暮れた空。オレンジ色の明かりが灯るマンションの出入り口の階段を下りる。リクが追ってくる気配はない。

嫌われちゃったかな……

元々からかわれていただけかも知れない。

こんな話し、ユメカにしたらきっと笑いのネタにされるのがオチだね……


「はあ……」


こんな自分が自分で嫌になる。



自分にとことん嫌気がさし、階段を下り終わったところで顔をあげると、薄暗い中に春樹が凄い形相で立っていた。

「お前。ここに何しにきたんだよ」

春樹に睨まれるのは慣れている。でも、いつもより数倍、いや、百倍ほどの睨みをきかせた春樹を見て、あたしの足は勝手に後ずさりを始めた。

「別に……あんたには関係ない」

怖いと感じていても、口は強気で言ってしまう。

春樹はフンと小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。


「陸人の後をついてきたんだろ」

「は?」

「分かってないようだから言ってやるけど、そういうの『ストーカー』って言うんだぜ!」


「……何言ってんのか、意味分かんない」


そうぼそりと呟いた途端、パーンという音に遅れて頬に痛みが走った。

あたしは頬を抑え、呆然と春樹の顔を見上げる。


「これ以上、痛い目にあいたくなかったら、陸人に近づくな」


今までに見た事の無いような冷酷な目をしている春樹に、もう言い返す言葉も見つからない。

口の中は微かに血の味がしていた。



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