その仮面、剥がさせていただきます!
春樹にぶたれた頬から手を放すと、いっそう痛みが増した。

春樹は何か勘違いしているみたいだけど、あたしにとってこれで良かったのだと無理やりに思う。

きっとこれはリクを傷つけてしまった罰だ。


「オレの言ったこと分かったよな!?」

念押しに怒った口調でそう言ってくる春樹に、こくんと頷いた。


頬がジンジンする……

それと同じくらい胸の奥が痛い……


この場に誰もいなければ泣きたいところだけど、人前で涙を流すのだけは絶対にしない。それはあたしの唯一のプライド。


春樹から立ち去ろうと踵を返した時、後ろからリクの声が聞こえた。


「リツに何をした?」

振り返ると、春樹以上に怒りを露にしたリクがいる。


「陸人。この女はな……」

「リツ。おいで」

春樹がリクに話しかけても、その言葉が耳に入らないみたいに、あたしの手を引き、リクはマンションの中に入って行った。

「リク……?」

「すぐに冷やさないと腫れちゃうよ」

春樹に向けたのとは違う優しい目をしたリクに、ドキっとしたあたしは黙って後をついていく。


乗ったエレベーターの扉が開き、いくつかの同じドアの前を通過すると、リクは一つのドアの前で止まった。


中に入ると、一足も靴が置いていない広々とした玄関を上がり、明かりを付けた廊下を通り、リビングダイニングに案内された。

一人暮らしにしては広い間取りだと思う。それに、男の一人暮らしにしてはキレイに整頓されている。

あたしが物珍しそうにきょろっきょろと辺りを見回していると、リクは手際よく氷水で冷えたタオルを用意してあたしの頬にあてがった。

「ひゃ。冷たいっ」

冷たさのあまり、リクが当てたタオルからほっぺを遠ざける。

「ダメだよ。ちゃんと冷やさないと」

部屋の明かりの下で、至近距離から見るクスッと笑ったリクの顔にまたまたドキッとしたあたしは、リクから奪い取るようにタオルを掴むと、それを今度は自分で頬に当てた。


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