その仮面、剥がさせていただきます!
いつもなら休み時間になると王子スマイルを張り付けたリクが教室にやってきて、みんなの注目を集めるところだけど、今日はさすがに姿を現さなかった。
「りっちゃん。今日は王子来ないね。なんかあった?」
ユメカの言葉でギクリとしたあたしにユメカは不審な目を向けている。
「べ、別に……」
「ふ~ん。で!昨日の件なんだけど、春休み中に片を付けてね~ヨロシク☆」
艶やかで悪戯に満ちた口元が上がる。
『何ちんたらしてんのよ!この役立たずめがっ!!』とでも言ってるみたいに……
ああ……
もうやめたい、なんて言おうものなら、あのぷっくりとした唇で何を言われることやら。
はあ。とため息をついたあたしは、あれからの出来事を回想していた。
リクに何も言わずにマンションを出てから、暗い夜道を一人歩いていた。
リクはあたしが怒っているって思ってんだろうな。とか考えたりしながら歩いていると、あたしの家の近くの街灯の下にいる春樹を見つけた。
「何?あんた、あたしのストーカー?」
皮肉たっぷりにそう放つと、春樹は意外にもあたしに向かって頭を下げてきた。
「陸人からさっき電話がかかてきて……その……悪かったな」
僕反省してますオーラたっぷりに、なかなか頭を上げない春樹に「もういいよ」って言うしかなかった。
こんなの、何かずるいよね。許すしかないじゃん。
それでも一向にその姿勢を変えない春樹を置いて、あたしが歩き出すと春樹の声が聞こえてきた。
「どんな形であれ、女を叩いたことは謝る。けどな、一つだけ言っとく。陸人のことを今以上に好きになるな。お前が辛いだけだ」
「何……ソレ?」
いくら友達のリクのことが心配だからって、そんなところまで踏み込んでくる?
大体、あたしがリクと付き合ってるのは潜入捜査の為なんだから、好きとか辛くなるとか、かんけーないってーの!
心の中で悪態をつきながら、春樹を睨んだ。
「陸人は誰にも『好き』とか言わない。そっちがいくら好きでも、陸人に気持ちは無いってことだ。信じられないんだったら、試しに言ってみればいい。『あたしのこと好き?』って聞いても、あいつは絶対に『好きだ』とは言わない」
何言ってんの?こいつ。
「謝りに来たんじゃなかったんだ?」
ケンカを売られてる気がするのは気のせい?
あたしの中で、沸々と春樹に対する怒りがこみ上げてくる。
「オレはお前の為を思って……」
「余計なお世話よ!」
春樹に一喝したあたしは、逃げるように家の中に入って行った。
もう!いったい何なのよ……
胸のモヤモヤはより一層大きく膨らんだ。