その仮面、剥がさせていただきます!
「遅くなっちゃったね。送ってくよ」

そうリクが言ったのは、冷やした頬の腫れがひいた頃だった。

「いいよ。一人で帰れるから」

ここに来てから何を話せばいいのか分からず、会話もあまりなく、時間だけが過ぎていた。

リクは誰にでも優しいから、春樹に叩かれたあたしのことも放っておけなかったんだよね。
例えそれが自分を傷つけた相手でも……

鞄の中にリクに取ってもらった人形を押し込めると、何も言わずあたしは玄関に向かった。

ありがとうぐらい言えば良かったかな……

思うのはいつも後から。

これでリクと話すのは最後かもしれないのに……

こんな時。自分の素直じゃない性格が嫌になる。


リクが後ろを歩いてくる気配がしても、あたしは振り向きもせず、黙々と靴を履いていた。

「春樹のことだけど。あいつ、根は悪い奴じゃないから……」

「……うん」

そう答えたけど、ホントはそんなことどうでも良かった。

春樹がいい奴でも嫌な奴でも、どっちでもいい。

「本当は俺が悪いから……だから、リツ。痛い思いさせて、ごめんね」

「なんでリクがあたしに謝るのよ?」

勝手に勘違いして暴走したのは春樹なのに。

リクはどこまで人がいいんだか。

靴を履き終え、ドアノブに手を掛けた時、あたしの背中に向かってリクが語りかける。


「前付き合ってた彼女に付きまとわれたことがあって……結局引っ越ししたんだけど、あの時のことがあったから、春樹もあんなに警戒したんだと思うんだ」


それであたしをストーカー呼ばわり?

そんで、リクは自分の為を思ってあたしを殴った春樹を庇ってるって?

それはそれは分厚い友情だこと!


あたしはドアを開けると何も言わず部屋から出ていった。



リクが良い奴だってことは知ってる。

春樹やユウだって、リクに付き合って教室で靴を履いてるってことは、それだけリクのことが好きだからだと思う。

春樹があたしのことを目の敵にするのだって、リクの為なんだろうなって気づいてた。


でも……


この胸のモヤモヤはいったいなんだろう。


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