揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
ピンポーン


インターホンを押して何分もしないうちに、克也が玄関を開けて迎え入れてくれた。


「大翔んとこ、宿題何だった?」


「算プリと、漢字ドリル」


宿題と筆記用具一式を入れ、俺はアディダスのリュックを肩に掛けて来た。


「俺んとこも算プリ何枚もあってさぁ、マジ分かんねぇんだよ」


そんな話をしながら、階段を昇って克也の部屋に案内された。


「ジュース取ってくるから、先に宿題やってて」


そう言って、アイツはすぐに部屋を出て行った。

とりあえずパイン材のローテーブルの前に腰を下ろし、荷物を置いた。


「先に…漢字やるか」


算数は、克也と一緒にやった方がいいだろうから。

とりあえずリュックから、筆記用具と漢字ドリルを取り出した。


俺が来てるって知ったら、由佳どうするかな?


そんな事を考えながら、漢字を1マスずつ埋めていく。


そのうち、部屋のドアの開く音がした。


「漢字からやってるよ」


ドリルにとりかかったまま、俺は入って来た克也に声をかけた。


だけど…克也からの返事は無くて。


どうしたんだろう?と顔を上げた俺の視界に入ったのは。

克也じゃなくて…由佳だった。
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