揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「なん…で?」


トレイにジュースとお菓子を乗せたまま、彼女は俺を見て立ち尽くしている。


困惑してるのは、俺も同じだった。

いきなりの再会に、どうしていいのか分からなくて。


ただ…由佳を見上げることしか出来ない。


「もう一回、2人で話しろよ?」


そう言ったのは、たった今現れた克也だった。


「ちょっ、克っっ。公輝君だって言ったじゃんっ」


……そういう事か。


克也に、『公輝が来てるから持ってって』とでも言われたんだろう。

俺だって分かってたら、きっと彼女は来なかったに違いない。


「とりあえず、俺ちょっと公輝ん家行って宿題やってくるわ。あ、夕飯ごちそうになってくるから。父さんも帰り遅いみたいだし、2人でゆっくり飯でも食いなよ」


予め用意していたらしく、克也はナイキのリュックを手にすると、


「ごゆっくりっ」


と言って、走って部屋を出て行った。


「ちょっ、克也っ!行っちゃやだってば!ちょっと!!」


慌てて声を掛けるも、由佳の言葉に返事は返って来なかった。
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