揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「俺と2人じゃ…嫌?」


困っている彼女に、思わずそう訊いてしまった。


「……」


手に持つトレイのジュースを見るかのように。

由佳は下を向いたまま、何も言葉を返してくれない。


「俺は…会いたかったよ?」


手にしていた鉛筆を置き、俺はゆっくりと立ち上がった。

由佳が逃げてしまわないように、静かにそっと近づく。


「教えてよ……?」


その場から、動かない彼女。

ジュースを置いてさっさと逃げて行けばいいのに、立ち尽くしてしまっている。


少しは…俺に情が残ってるって思ってもいい?


「どうやったら由佳の事諦められるか、教えてよ?」


そして、由佳のすぐ前で立ち止まる。

小刻みに肩を震わせている彼女から、そっとトレイを取り上げた。


「うっ……」


彼女の口から漏れる声。

下を向いたままの由佳から、何かがポトッと下に落ちた。


泣いてる……?


トレイをテーブルに置き、俺はもう一歩近づいた。

勇気を出して、彼女の両腕に…手をかけてみる。
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