レモンムスク
「何?どうかした?」
私は、振り返って治樹をじっと見ている体制のまま、考えていたため、見つめていると勘違いされたみたいだった。
「別に何でもありません。」
私は平常心を装って、前に向きなおした。
「まじ何ー?治樹に用があるんだったらあたし達通せっつーの眼鏡女!」
知りたい。
この治樹という男…
もしかしたらあの人かも知れない。
と思った矢先、
「ちょっと来いよ。」
「!?」
私は治樹に腕を捕まれて廊下に引っ張りだされた。