月を狩る者狩られる者
「バカが……不用意に純血の血なんか飲むからだ……」

膝(ひざ)をついている朔夜が呟く。


男の絶叫が続く中、朔夜の声ははっきりと聞こえた。

「純血の血は……普通の吸血鬼には強すぎる」


朔夜の呟きを耳にしながら、私は男がゆっくり動きを止めていくのを見ていた。

 

「死んだ……の?」

動かなくなった男を見つめたままで、口を動かす。


その私の言葉に、朔夜がゆっくり立ち上がりながら答えた。


「まだ死んではいないはずだ。そいつが純血の血にたえられるかどうかで決まるな」

そして後ろから肩を抱かれる。


「そいつは放っておけ。帰るぞ」

「え? でも……」

私は男を本当に放っておいて良いのかどうか迷った。
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