月を狩る者狩られる者
「何で、私の両親を殺したの?」

この疑問は、いくら考えても思いつかなかった。


両親は、恨みでもあるかのような残酷な殺され方をしていた。

でも、二人はそこまで恨まれる様な人達じゃなかったし、大体吸血鬼と面識があるとは思えなかった。



「『何で』だって? 君の母親が僕を拒んだからさ!」

十六夜の口調が突然荒々しくなる。

私は思わずビクンと体を震わせた。


「何度好きだと言っても、何度愛を囁いたとしても、彼女は僕を好きになってくれなかった! ……そしてしばらく姿を見ないと思ったら、彼女は結婚してるじゃないか!?」

話が続くごとに、十六夜の声の荒々しさは増す。


「だから殺したんだよ。僕のものにならないのなら、この世からいなくなればいいんだ」

そして十六夜は声高々に笑った。



狂ってる。

十六夜は、完全に狂っていた。

 
< 170 / 421 >

この作品をシェア

pagetop