月を狩る者狩られる者
「聞こえなかったのか? 望から離れろ」

さっきよりは息が整ったのか、今度はしっかりした口調だった。


「もう来たの? 早かったね。それともあいつ、相当弱ってたかな?」


「ふん……俺の血を吸ったんだ。あの程度の男が耐えられるわけがない」

朔夜の言葉で、二人の言っている男が誰のことなのか分かった。


十六夜は知らない様な事を言っていたけれど、実際は朔夜の足止めに使われていたらしい。



「あんな弱っているヤツを囮(おとり)にするとは、俺も舐められたものだな」

「純血種に舐めてかかるつもりは無かったよ。ただ単に、手駒が他に無かっただけさ」

十六夜はそう返すと、わざとらしく嘆息した。
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