月を狩る者狩られる者
「最初はね、ただ単に純血種が骨抜きになった人間の女ってどんな人なんだろうって思っただけ」


骨抜き……ねぇ……。

寧ろ骨抜きにされているのは私の方な気がするんだけど……。


「どんな人か見たら、姉さんに言われた通り殺すつもりだったんだ。……実際に目にするまでそう思ってた」

言葉の最後の方の口調が変わり、私は改めてクレハを見る。

彼はこの上なく美しく、それでいて無邪気な笑顔を浮かべていた。


「望……。貴女は綺麗だね。姉さんも綺麗だけれど、それとは全く違う美しさ」

恍惚とした声。


硬い、男の手が頬に触れた。

顔にはまだ幼さが残るクレハだけれど、その手は……その身体は既に大人の男と変わりないようだ。
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