月を狩る者狩られる者
私はこれすら夢ではないかと思った。

でも、綺麗な容姿、少し長めの漆黒の髪、そして冷たいアイスブルーの瞳。その全てが数時間前に見た朔夜そのものだった。

ただ、絶対的な美しさは多少抑えられていて、恐怖を感じることはなかった。


「じゃあ行こうか」

私に近付いてきた朔夜は、そう言っておもむろに私の肩を抱く。

そして階段を下りはじめた。


「え? 何? 何処によ? 私帰って寝たいんだけど」

「じゃあ帰ってから寝ろ」

「だから帰って来たんじゃない。このアパートに」

「あの部屋は解約しておいた」

「…………へ?」
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