月を狩る者狩られる者
私は今の状況を本能で理解していた。

私の中の朔夜の――純血種の血が教えてくれる。


私は今、高まった魔力とその美貌でクレハを魅了しているんだ。



クレハはもう、私に逆らえない。



「クレハ」

「はい」

呼ぶと、今度は震えていない静かな声が返って来る。


「朔夜のいる部屋はどこ?」

「この部屋を出て左。真っ直ぐ行った、突き当たりです」

その答えを聞いた私は、「ありがとう」と一言残し、部屋を出た。


今までいた部屋も立派だったから、廊下も広いんだろうと想像出来た。

想像通りだった廊下には誰もいない。

 
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