【完】あたしが君を守るから




そっと椎が、手を差し出す。




「お手をどうぞ、お姫様」




ふざけたように笑う。




「お姫様なんて言葉は、椎のものでしょ?」




"姫くん"って呼ばれるほどなんだから。




「俺は男。歩は女」




あたしが手をとるのを躊躇っていると、椎が強引に掴んだ。




驚いて視線を上げる。




「今日一日、この手離すなよ?」



意地悪な笑みが浮かんでいる。




コクンと頷く。




解った...




けど、





椎も離さないでね?




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