【完】あたしが君を守るから
「ふーん?」
訝しむような視線を浴びる。
こういうときは、平常心が大事ですから。
新聞に目を通していると、廊下から話し声が聞こえた。
誰か来たのかな。
廊下の方へ耳を澄ます。
あ...。この声は、あの子ね。
警戒心を解き、この部屋に入ってくるのを待つ。
そして勢いよく開く扉。
「たっだいまーっ、歩!!」
白のジャージ姿でわたしに飛びつく彼。
「おかえり。桐[キリ]」
軽く微笑んで応える。