あやまち
「悠亜、着いたよ」



窓から外を眺めていたはずなのに、意識が別のところにあったからか、景色が全然見えていなくて、麻希のアパートに着いていたことに、全く気付かなかった。



麻希に促されるままに車から降りて、アパートの部屋に入った。



「凄く涼しいね」



留守にしてる間に、部屋はすぐに熱気でこもってしまうこの季節。


なのに、部屋に入ったとたん、気持ちのいい冷気がすーっと肌を撫でた。



「すぐに戻ってくるつもりだったから、エアコンを付けたまま悠亜を迎えに行ったんだ」


「そうだったんだ」



車だと往復で30分くらいだから、付けっぱなしでも問題ないもんね。



「とりあえず、その辺に座ってて」



そう言って麻希は、キッチンへお茶を取りにいった。

< 115 / 220 >

この作品をシェア

pagetop