あやまち
あの時のあたしは、とにかくショックで、渉を避けていた気がする。


そんなときに翔太からコクられて……


酔っていたとはいえ、その勢いでヤっちゃって……


こうやって、麻希から真実を告げられると、あれも翔太の思惑通りだったってことなのかな。


それでも、なんだかんだいっても、あたしは翔太のことを好きになったんだ。


それは後悔していないし、幸せだったとも思う。


ただ――


今の翔太と一緒にいることは、やっぱり苦痛に感じてしまうけれど。


てことは、翔太への『好き』って気持ちは、もうなくなってしまったってことなのかな。


そんなことを考えている横で、麻希が鼻をすすりながら顔を上げた。



「悠亜、ごめんね。もう、……親友じゃ、いられないかな」



止まっていた涙が、また麻希の瞳からこぼれ落ちた。

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